経済産業省は7月15日、新たな地熱発電技術に関する経済効果試算を発表しました。温泉地以外でも利用可能な次世代技術の導入により、最大46兆円の経済波及効果が見込まれています。

経済産業省は同日開催の官民協議会において、7.7ギガワット分の地熱資源開発が実現した場合、29兆円から46兆円の経済効果が生まれるとの試算を提示しました(出典:経済産業省2025年7月15日発表資料)。この技術が普及すれば、年間3654万トンのCO2排出削減も可能となります。
現在、次世代地熱発電の実現に向け、中部電力や三菱商事などが海外の技術系企業への出資を進めています。特に注目されているのは「クローズドループ」技術で、地下に熱水が存在しない場所でも発電が可能となります。
従来の地熱発電は国立公園や温泉地に限定されていましたが、新技術により開発可能地域が大幅に拡大します。ただし、発電効率の向上やコスト削減といった課題も残っています。
経済産業省は2030年代の実用化を見据え、技術開発の各段階に「ステージゲート」を設定し、進捗状況を評価しながら段階的な支援を行う方針です。工程表案も同時に示されました。日本は世界第3位の地熱資源量を有しています。天候に左右されない安定供給が可能な一方、従来は温泉事業者からの懸念も多く、開発が進んでいませんでした。
政府は2025年2月に閣議決定したエネルギー基本計画で、地熱発電の割合を2023年度の0.3%から2040年度には1-2%に引き上げる目標を掲げています。今回の試算は、この目標達成に向けた重要な一歩と位置付けられています。